理系脳に触れて考えたこと
気がつくと、大学に入ってからのこの数年間、しばらくがっつり理系脳の方とお話しする機会がなかった。
大学で話すのは同じ学部の人たちばかりだし、高校の友達でも、後半2年は文系と理系に分けられていて、理系の友達で今でもこまめに連絡を取る友達は数えるほどしかいない。
タイ留学でも、留学に来ている人は文系学部の人が多かったし、タイ人の友達もリベラルアーツとか経済とかの子達が多くて、そんな環境だったから「これからのテクノロジーは・・・」なんて語り合うタイミングはほとんどと言っていいほどなかったのよね〜私はだけど。(よく考えるとしてたような人たちもいるけど、私は入る気もしなかったわ、とほほ)
こんな環境でしばらく生活していたので、テクノロージのテの字も考えなかったのよね。
その中でテクノロジーの今後を信じます!という話を聞いて超びっくりした。テクノロジーの存在どうこうに関してはまた別の話として、理系の人(特に今回話した人)の考え方って、本当にロジカルなんだよね。
「Aが起こるとBが起こる。これはCという原因があるからだ。」みたいなね。
今回の講演は、その会社が提供しているプログラミング講座の紹介を兼ねた、これからの時代にプログラミングがどのように重要になるかを解説するものだった。
簡単に内容を説明してみると、こんな感じ。
” これからの社会はどんどん人力ではなく機会が代替して行く時代になる。この社会で戦う上で、自分でプログラミングができるのは、小学生で国数理社を学ぶのと同じように、「教養」なのである。実際にこれからプログラムに置き換えられうる仕事はどんなものがあるのかを考えてみてほしい。たくさんあり、それらがプログラムに代替される時に生まれる違和感は、昔移動手段が馬だった時代からだんだん自動車の時代に移り変わって来たように、慣れでどうにかなるもので、全ては効率的な方向へ向かうのだ。全ての仕事がテクノロジーの上で成り立ち、テクノロジーの会社が世界を動かす(金額的に)今の時代だから、自分にプログラミングの能力を付与することで、より創造的な仕事をすることができるのだ。 ”
プログラミングに関してこれから必要なのだ!と論じながらも押し付けるような言葉や思考は避け、自然に聞いている側が必要なのだという危機感を抱かせるように上手く作られていて、聞いていて本当に面白かった。(ほんと伝え方って大事なのだと思った。細部まで作り込まれていて、ツッコむ部分をうまく表に出さない「説得力のある」プレゼンだと思った。)
んで、ここからが本題。
このテクノロジーの話を聞いて、テクノロジーの発展から人件費を削減できるということは、労働人口が減るということだから、労働に参加できない人たちがさらに増えてしまうことに対してどう考えるかを聞いてみた。
ここで私はつくづく文系脳、というか、いままでいろんな場面で勉強して来たり感じて来たことがそういう貧富の格差や非熟練労働に関することだったから、こう考えるのは自然だったと思う。
そうしたら、帰って来た答えは、
「コストが人力よりも機械の方が削減できるならば、ベーシックインカムという制度を使って、人を働かせるよりも金を渡して家で寝ていてもらう。政府も、仕事がなくなってボイコットが起こるなんてことになると国家崩壊で求めていないことだから、お金を渡すか、教育の機会を与えて熟練労働者になるように導くだろうね。国家が富の再分配をすることは、国内でクーデターが起こるよりも効率がいいからね。」
だった。
ふむなるほど、とても論理の筋が通っていて、このまま考えれば何も問題なく富の再分配が行われて、機械化した国家はうまく回りそうだ。
でもこの残る違和感はなんなんだろうか・・・
と思っていたところで『バンコクの熱い季節』という、スラム街出身の女性とその旦那さんからみたスラム街の現実が書かれた本を読んで、この違和感の正体をつかんだような気がする。
それは、人を人として考えられていないことだ。
講演の講師が言っていた話は、人が機械であったら成り立つ話で、人間だったらそう簡単にはいかない。
人間は欲があり、見栄があり、思考がある。
例えばお金をもらったとしても、それできちんと生活をできるかは別問題で、闇の市場でさらに高額のお金にしようと犯罪を犯したり、教育が与えられてもその重要性がわからない人たちには役に立たないものでしかない。
そのような人たちの意識を変えて行くのはやはり人の力であり、地道に少しずつ人々の間に入って影響を与えて行くしかない。これは、機械化が急速に進むスピードに追いつきながら変化できるものではない。
このような視点を見落としたまま、今までも経済の成長のために改革を進めて来た結果生まれたこの貧富の格差を、まだそのような人の力を必要としない考え方で埋めることは、机上の空論でしかない。
おお、数年前に騒がれていた「大学から文系学科なくなる!?」みたいな論争の真意が今やっとわかって来たぞ。超危険じゃん!
文系脳の人がいないと、理系脳でどんどん進化を求めるキラキラしたものの、問題点が見えなかったりするのね。ふむ。すごく腑に落ちた結果になった満足。
見えない部分は必ずあると 自覚しながら生きないと、こういう罠にはまってしまうのね・・・恐ろしい。
相変わらずタイの音楽が好きで、このMVを見るだけで心が動かされる感じが好きなんよね。
ちゃんと心を動かす生活をしよう〜と思った。(体も動かさないといけない・・・)
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